辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 なんて優しそうな方なのかしら…………初めて出会った時はお顔が逆光でよく見えなかったのだけど、こんな優しそうな方だったのね。あの時は鬼神か何かじゃないかとすら思ったのだけど。

 
 今は微塵もそんな風に思わない。


 私は14歳とは言え155cmくらいで小さく、テオドール様は190cmは超えているわね。私たちが横に並んで歩けば、確かに声が聞こえにくいかもしれない…………だからってこの状況は恥ずかしくて周りの皆の顔を見られないわ………………テオドール様のお体がとても大きいのもあって、ズンズン城に向かって歩いていくと、あっという間に城壁まで辿り着いた。

 城下町から城壁までが細い曲がりくねった道のようになっていて、馬車で城門まで行くのは厳しかったかもしれない。


 だから下まで迎えに来てくれたんだ。


 色々と気遣ってくれている事に私の胸は温かくなった…………こんな気遣い、エリーナ以外の人にされた事なんてないもの。嬉しい…………


 「……私だ。開けてくれ」

 「はっ!」


 門を守る騎士はテオドール様を確認し、鎖を引いて門をゆっくり開けていく…………物凄い強固な門だわ……ここの守りは万全って感じがする。こんな素晴らしい軍を持つ国に勝とうとしていたとは、無謀な戦いだったという事なのね。
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