辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~



 そう言って頭を下げた後、ニッコリ笑った。


 皆放心しているようだったけど、私の心は雲1つない晴天の空のように清々しさで溢れていた。そしてテオ様の方を振り向くと、私をまた抱き上げて優しく微笑んでくれる…………これでやっとお別れ出来たのだと、解放感でいっぱいになった。


 「…………連れて行け」

 「はっ!」



 テオ様が兵にお父様達を連れて行くように指示を出し、皆が連行されて行く姿を見守りながら、心の中でお別れを言った…………お父様、皆、さようなら――――――

 

 「…………大丈夫かい?」

 「はい。やっと本当の意味でお別れが出来ました。テオ様もありがとうございます、あんな風に言ってくださって……」

 「あれは私がずっと言いたかった事だからいいんだ……出しゃばり過ぎてしまったかなと思ったんだけど」


 気まずそうに苦笑いするテオ様が可愛らしくて、思わず顔を抱きしめた。
 

 「そんな事はありません…………私ではあそこまで言う事は出来ませんでしたし…………それに――」

 「うん?」


 「…………私がこれからもずっと旦那様を幸せにしますね!私にしか出来ないと仰ってくださったから……私、頑張ります!」
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