辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 テオドール様はその女性を執務室に連れて行き、二人は私の視界から消えていった。気付かずに行ってしまったわ…………よほど大事なお話があるのかしら……


 「ロザリア様、旦那様は来客中ですし庭園に戻りましょうか……」

 「…………そうね……」


 私はエリーナに言われた通りに庭園に戻った。私がそこにいたところで何か出来るわけでもないし、頭の整理をする必要があったから。


 あの女性は誰なんだろう――――


 「その方はステファニー・ドゥカーレ伯爵令嬢じゃないでしょうか?」

 「え?」

 
 私は知らないうちに声に出てしまっていたらしくて、レナルドが答えてくれた。


 「旦那様の昔馴染みで元婚約者ですよね。二人は結婚すると思われていましたが、なぜかそうなる事はなく婚約は流れ…………かなり昔の話ですけど。その後旦那様はリンデンバーグに勝利して、奥様とご結婚されました。ドゥカーレ伯爵令嬢とどういう経緯があったかは誰も知りません……」


 「…………そう、なの……」


 レナルドは何でもしっているのね。どうしてその人が訪ねてきたのだろう…………嫌な予感がしてしまう。
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