辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

想い人 ~テオドールSide~


 

 「ロザリア様!」

 「奥様!」


 外から突然ロザリアを呼ぶ叫び声が聞こえる。なんだ?何かあったのか?私はステファニーと顔を見合わせてから、慌てて執務室を飛び出すと、廊下にはロザリア付きの侍女のエリーナと庭師のレナルドがいた。


 「どうした?ロザリアに何かあったのか?!」


 私が二人に慌てて聞くと、二人から明らかに敵意を感じる視線を浴びる。


 「………………旦那様、今のお話はどういう事でしょうか?」


 レナルドがおかしな事を聞いてくる。さっきの話?何の事だ?私がよく分からないという表情をしていると、ロザリア付きの侍女が怒りをぶつけてきた。



 「…………旦那様、ご無礼を承知でご意見させていただきます……先ほど、ロザリア様は旦那様にお聞きしたい事がございまして、こちらの執務室にいらしていました。そこで扉の中からお二人の会話が聞こえてきたのです」


 「ロザリアが?…………………………さっきの話を…………」


 「ロザリア様は旦那様がご自分との生活に耐えていると…………距離を置いているという事を聞いて涙を…………あなた様もロザリア様を蔑ろになさるのですか?ご自分からご所望しておきながら…………旦那様がロザリア様の扱いにお困りでしたら、一緒に出て行きますので!このような場所にロザリア様を置いておくなど…………」
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