嘘を吐く貴方にさよならを

二人の出会いと告白

 桜が舞い散る季節、一人の女子生徒が高校の校舎裏にある、花壇近くに座り込んでいた。

 腰まで長い赤い髪がきらきらと太陽により輝き、漆黒の瞳はカラフルなチューリップが咲いている花壇に向けられる。

 汚れてもいいようにジャージ姿、手には軍手がはめられ赤いシャベルが握られていた。

 額からは汗が流れ、口元には笑み。
 色とりどりの花壇を楽しげに見つめていた。

「ふぅ…………」

 手入れが終わり花壇を見ると、すぐに首を傾げ、何かが物足りないなと考える。

「あ、そうだ」

 軍手を取り、右の手のひらを広げる。
 すると、手のひらから赤い花びらが現れ、一輪の赤い薔薇が彼女の手に握られた。

「赤色が足りないのかも。もっと増やしてみよう」

 手から生み出された赤い薔薇を花壇にうまく入れ、遠くに離れ全体図を確認。

「よしっ!」

 小さくガッツポーズをし、満足したように鼻を鳴らした。

 花壇の近くに置かれているじょうろに駆け寄り、零さないように両手で持ちふらつく体を支え、花壇に少しずつ水を注ぎ始めた。

「元気に育ってね」

 じょうろの中に入っていた水を全て注ぎ終え、息をつく。帰る準備を始めようと歩き出すと、急に足に痛みが走り顔を歪ませた。

「いっ!」

 痛みの反動でバランスを崩し、後ろに体が傾いてしまった。


 ――――――――っ!! 転ぶ!!


 小さく息を吸い、衝撃に備え咄嗟に目を閉じた。
 だが――――…………


 ――――――――フワッ
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