嘘を吐く貴方にさよならを
「…………そういえば、一華の個性の花が赤い薔薇だってこと、黒華先輩は知っているのかな」

「え、あー、どうなんだろう。でも、なんで?」

「黒華先輩の個性の花が薔薇だった場合、一華に告白したのは赤い薔薇目的の可能性があるでしょ? もしかしたらだけど、助けてあげようと思っての告白かもしれないし」

「そんな事あるわけないでしょ。あの、黒華先輩だよ? 噂通りの人だったら、人を助けるなんて思考すら持たないでしょ」

 薔薇の三色には、それぞれ言い伝えがある為、二人はその事も視野に入れ考えていた。

「でもさぁ。個性の花が赤い薔薇である一華にとって、もし黒華先輩が薔薇の持ち主なら断る理由がないと思うんだけど」

「それは…………確かにそうだけど、それはなんか違う気がする」

「なんで?」

「だって、それって相手を個性の花としか見ていないという事でしょ? その人自身を愛していないことになるじゃん。そんなの、お互いに辛くなるだけだよ」

「律儀だねぇ」

 頬杖をつき、真理は一華を見る。

 何とか解決策はないかと考えているけれど、そもそも優輝が何を考えているのかわからないため、対策の立てようがない。

「でも、聞いてみるだけ聞いてみてもいいんじゃない?」

「それ、個性の花を目的としてそうで嫌だ」

「むぅ…………」

 真理が唇をとがらせると、教室に担任が入ってきた。
< 7 / 15 >

この作品をシェア

pagetop