制服レモネード
「じゃあ、また来るから。父さん、あんまり無理しないで何かあったらすぐに連絡ちょうだいよ」

「ったく、年寄り扱いするな、わかったから」

最後にちゃんと「わかったから」と付け足したおとうさんに、胸がキュンとして。

不器用だけど、不器用なりに、歩み寄る努力しようとしてくれてるんだ。

矢吹さんが「じゃあ」と言ってから、私たちは、車の方へと向かう。

矢吹養蜂場の看板を通り過ぎるまで、何度も後ろを振り返る。その度に、2人がちゃんと手を振ってくれていて。

世間の目とか、これから先、2人で乗り越えなければいけないことまだまだたくさんあるかもしれないけれど。

こんなに素敵な家族に支えられながらなら、絶対大丈夫。

ありがとう、もう2人の、私の大事なお母さんとお父さんたち。

何度も手を振り返しながら、私たちは車に乗り込んだ。

「うっ、」


「え、急にどうした」


矢吹さんが車のエンジンをかけて走り出してすぐ、思わず出てしまった私の声に、矢吹さんがすぐに気付いてブレーキをかけた。

ぽたぽたと溢れて止まらない私の頬を伝う涙。

「ううっ、」

「梓葉、どうした大丈夫?」

矢吹さんが「何があったんだ」とか「俺の知らないところでなんか言われたの?」と色々質問してくるけど、私は涙を拭きながらブンブンと首を振る。
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