美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「別に、そんなつもりは……ない」

「冠を見せる必要もあるんでしょう?前に言ってましたよ」

「それはそうだ。会社として協賛するかもしれないからな」

「それなら、旦那様にもお伝えせねばなりませんよ」

「考えておく」

 嬉しそうに口元を押さえて出ていく椎名。

 なんなんだ、むかつく。でも、彼女のことを考えるとそんなことはすっかり忘れられた。

 ああ、楽しみだ。新しい事業をやれる。僕は自分の気持ちにまだきちんと気づいていなかった。
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