美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「そこまでされなくても……」

「いいえ。そうじゃないと、明日は店がスカスカになります。ありがたいことですけれど……」

 私は椎名さんにお礼を言って別れた。彼の携帯にお礼のメールを入れる。

 店を閉めてため息をついた。

 このもやもやは何だろう。わかっている。私の力ではない。

 いや、もちろん私のアレンジが認められたことも多少なりともある。

 でも、私のアレンジじゃなくとも、あのオフィスにあのように飾られたら他の人の作ったものでも噂になるんだろうと思った。

 外に出て星を見上げた。素直じゃない私がそこにいた。

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