美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 時間が丁度三時半からだったので、小さい子供がずいぶんといなくなっていた。大人のお客様も多く、また、見るからにセレブのノースエリアにお住いの人達も散歩がてら来ているようだった。

「ねえ、こんな花材しかないの?ラナンキュラスが欲しいわ」

「アーティフィシャルフラワーはないの?」

「ブリザーブドフラワーを作りたいわ。ねえ、金額はいくらでもいいからなんとかしてよ」

「……申し訳ございません。そういった花材は本日ご用意しておりません」

「馬鹿みたい。こんなどこにでもある子供向けの花じゃ、私たちは楽しめないわ。あなた、どこの花屋?見たことない顔ね」

 隣にいた、友人の女性が言う。
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