美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「まあ、そこはおいおい考えましょう。ただ、部屋は必要ですね。ここでお泊りになるのをやめたらどうですか。そこを応接室にリニューアルなさっては?」

「ええ。実は考えています。遅い時間に叔母の家まで戻るのもどうかと思っていて、隣のサウスエリアに家を借りようかと……」

「そうですか。それはその、蓮様には話されました?」

「あ、いえ。まだ何も……」

 彼は何か含みのある表情をして、咳払いをすると、仕事の依頼に話を代えた。

「今日は前回のアレンジの更新をお願いしようと思っていますが、この間色々作って見せてくださったうちの迷っていたほうを今度はお願いします」

「あ、はい……」
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