美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「ああ、任せておけ。楽しみだな。新しいことをやるのはワクワクする。椎名には怒られそうだが、父は分かってくれると思う」

 彼は私のほうを見るとまた見事なウインクをひとつ落とした。見とれてしまう。

 だから、俳優って言ったのに……彼はとても嬉しそう。本当に信じらんない。

 名取さんはといえば、これまた見たことのない苦虫をかみつぶしたような顔。

 その間にいる私はため息をつくしかなかった。

 忘れもしない、仕事とプライべート両方の運命の歯車が一緒に回りだした瞬間だった。

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