結婚お断りします!イケメン准教授からの執拗なプロポーズ
なんで? と思った時、先生に鋭く睨まれた。
うわっ、めっちゃ怒ってる。ドアを閉めて中に戻ろうとした時、

「話があります」と言って先生が強引に私の部屋に入る。
「ちょっと! 勝手に上がらないで下さい!」
「僕は大家ですから。この部屋は僕の所有物です」

私の腕を掴んだネイビースーツ姿の先生がドスドスと勢いよく廊下を歩く。
ガッチリと掴まれていて先生の腕はほどけない。昨夜の事を叱りに来たのは明らかだ。

「賃貸契約を結びましたよ。大家さんが勝手に私の部屋に上がる権利はないと思いますが」
「人の話を聞かず、一方的に言いたい事を言って電話を切る権利も君にはないと思いますが」

やっぱり昨夜の事を怒っている。

私をリビングのソファに強引に座らせ、先生は私の前に立った。目尻を上げてこちらを見る顔が怒っている。ここまで怒っている先生を見るのは初めて。これからお説教が始まるんだ。普通だったら憂鬱に思うけど、先生に会えて嬉しい。つくづく私はこの人が好きなんだと実感する。

「僕を大嫌いだなんて、君は相当な嘘つきですね」
「嘘ついてません。本当の事です」
「じゃあ、この間の金曜日、僕に好きだと言ったのは何だったんですか?」

身に覚えのない事に眉が上がる。
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