結婚お断りします!イケメン准教授からの執拗なプロポーズ
「お邪魔しました」

玄関まで見送った私を見ながら先生が言った。
私を見つめる瞳はがとても優し気に見えてドキリとする。

私の事を大事に思っている。
そう、黒い瞳が言っているような気がした。

そんな事ある訳ないのに。

「鍵はちゃんとかけるんですよ」

そう言って、部屋の外に出た先生はドアを閉めた。
留守番する子供に言うみたいな言葉に頬が緩んだ。

全く、人の家に押しかけといてそんな事を言うんだから。
閉まった灰色のドアをしっかりと施錠してから部屋に戻る。

はあ。やっと帰ってくれた。

コタツに戻り、食べかけのケーキを食べる。今度はちゃんと味がする。甘くてほっとする。なんか先生みたい。
そう思った瞬間、自分に驚いた。

ダメ、ダメ。
先生は遠ざけなきゃいけない人なんだから、ほっとしちゃダメ。

自分を戒め、ケーキを完食した。
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