結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「九条さんにそこまで嫌われているとは思いませんでした。わかりました。もうプロポーズはしませんから。これでいいでしょう」

怒ったような調子で先生が言った。騙しておいて、その態度はないんじゃないの。

「嘘つきの先生の言葉なんか信じられません! まだ下心があるんじゃないんですか? 本当はここの家賃25万円だって聞きました。いくらなんでも6万円で私に貸すのは安すぎます」
「税金対策です。それだけです」
「信じられない」
「だったら、足りない分は身体で払えとでも言った方がいいんですか?」
「か、身体で払えって、なんて破廉恥な事を言うんですか!」
「何を言っても九条さんが聞く耳を持たないからです」
「酷い。契約で私を縛って逃げられないようにしてから、そんな事を言うなんて」
「僕は悪徳大家ですから。これでいいんでしょう!」

ツンとした態度の先生が憎々しい。
ああ、もう、なんでこの人はいちいち私の感情を逆立てるのよ。

「先生なんか大嫌い!」
「全く、君はああ言えば、こう言うで可愛くない」
「どうせ私は可愛くありませんから!」
「なぜ素直に甘えられないんですか。下心はありませんよ。君が心配だから、部屋を提供しただけです」
「先生に心配してもらわなくても大丈夫ですから」
「そうやって君はまた無理をする」
「無理していません」
「学生の時から変わっていない。だから心配になるんです」
「だから、心配しなくていいと言っているでしょ!」

いきなり先生の腕が私の背中に伸びて、抱きしめられた。鼻先が先生のベストの胸元に当たる。甘い先生の香りがして、胸がキュンと締め付けられた。
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