愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
第七章 幸せな結婚式
「宣利さんのおかげです。
本当にありがとうございます」

結婚式の招待状を渡しに行ったら、父に感謝された。

「僕はなにも。
お義父さんの仕事が正当に評価されただけですよ」

宣利さんは謙遜しているが、それでも彼のおかげだと思う。
あれから典子さんが推薦したお店は許可が取り消され、ツインタワーの運営が父に頭を下げる形で再び出店が決まった。
しかも今回の取り消し騒ぎで被った損害も補償する形で、だ。
それもこれも宣利さんが尽力してくれたからだ。

「いいや。
宣利さんのおかげです。
ありがとうございます」

深々と父が頭を下げる。

「そんな、やめてくださいよ。
お義父さんと僕との仲じゃないですか」

宣利さんは父に頭を上げるように促しているが、〝お義父さんと僕との仲〟とは?
父はいまだに、義理の息子とはいえ宣利さんを相手にすると緊張するらしい。

「堅い話はおしまいにして、お茶にしましょ?」

ぎこちない父の態度を笑いながら、母がケーキを運んでくる。

「あっ、お義母さん、僕が」

すかさず宣利さんが、手伝おうとする。
さすがだ。

「いいのよー、座ってて」

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