愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
最終章 あなたより先に死なない
子供は七ヶ月で出産という形になってしまったが、無事だと言われた。
私は胎盤剥離の影響で出血が酷く、再び出血しないようにしばらくは絶対安静だと言われ、枕から頭を上げるのもままならない。

「うわーっ、可愛い」

まだ起き上がれない私のために、看護師さんが赤ちゃんの写真を撮ってきてくれた。

「ね、宣利さん。
可愛くないですか」

保育器に入る我が子の写真を彼に見せたものの。

「あ、ああ」

取り繕うように笑い、宣利さんが写真も見る。

「可愛いな」

口ではそう言いながらも、彼は心ここにあらずといった感じだった。
私が意識を取り戻してから、いつもそう。
ずっとなにかを思い詰めたように考えている。

「なにを、考えているんですか?」

「あー……。
今日の晩ごはん、なんにしようかな、って。
花琳がいないとあんまり食べる気が起きないんだよね」

宣利さんは笑っているが、嘘をついている。
絶対、別のなにかを考えていたはず。

「僕はそろそろ帰るけど、花琳は無理しちゃダメだよ?
あとちょっとの辛抱なんだからさ」

「……わかってます」

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