愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
第二章 出戻りの出戻り
宣利さんと離婚し、実家に帰ってきて数日後。
携帯に銀行から振り込みがあったと通知が来た。
宣利さんの言っていた、慰謝料というヤツだろう。
いや、離婚は合意の上だし、そんなものはいらないと言ったのだ。
しかし。

『この一年、なにかと君には嫌な思いをさせた。
その慰謝料だ。
取っておけ』

と言われ、断れなくなった。

「えっと……」

携帯を操作し、額を確認する。
そこには見慣れない数の0が並んでいた。

「えっと……一、十……億。
おくぅーっ!?」

ありえない額を認識し、ごろごろしていたベッドから飛び起きる。

「えっ?
はっ?
三億?」

そんな額、プロ野球選手の年俸でくらいしか聞いたことがない。
なにを考えているんだ、あの人は。
速攻で電話をかけるが、出ない。
まあ、仕事中かもしれないから仕方ない。
今度は交換したものの滅多に使ったことのない、メッセージアプリを開いた。

「えっと……。
慰謝料、振り込まれました。
ありがとうございます。
けれど額を間違っていませんか?
……と」

振り込みされた額が表示されている画面のスクショを添えて送信する。
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