愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
第三章 嫁教育
宣利さんとの復縁が決まって翌週末。
迎えに来た彼とともに新居へ向かった。

「何度見ても凄い街ですね」

街の中にはショッピングモールも病院もあり、ここですべてが完結しているらしい。

「ああ。
街から出なくても大抵用は済む」

こんな街で今から暮らすなんて場違いな気がする。
サウスパークのまわりに広がる一般住宅街ならまだしも、ノースエリアの高級住宅街だなんて。

周囲と一線を画すゲートを抜け、車は進んでいく。
さらに家の敷地へ入るためにゲートがあるなんて、やはり倉森家はうちとは格が違うのだと再認識した。

先に玄関で降り、ガレージに車を停めてくる宣利さんを待つ。
少ししてかなりの轟音が聞こえてきた。

「え、なんの音?」

音の元を探そうと周囲をきょろきょろする。
すぐに空へと上がっていく飛行機が見えた。

「航空自衛隊の基地が近いんだ。
それで」

まもなく来た宣利さんが私と同じ方向を見上げる。

「へー、そうなんですね」

「ああ。
外は少々うるさいが、防音してあるから家の中は静かだ。
休日と夜間はスクランブルでもなければ飛ばないし。
あれはたぶん、スクランブルだったんだろうな」

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