保健室でまた会いましょう
───あまりもの 翼side───
「なぁ、きぃやんどうしても出なきゃ駄目?」
「駄目だ。あの人毎日毎日俺に泣きついて来て面倒だし、今日球技大会に関する会議もしたいらしいから行っといた方がいいんじゃないか?」
「…はぁー」
朝、俺がいつものように保健室へ登校するときぃやんが俺に教室へ行くように促す。
「ぶっちゃけなんでもいいんだけど」
「まあまあ、希望を聞きたいってあの人も言ってたし行くだけ行って内申点稼いで来い」
「やだよ面倒くさい」
「ったく…んなこと言ったってお前はもう行くしかねーの。ほら、うだうだ言ってないで行って来い」
これ以上抵抗しても意味のないことはわかったので俺は渋々諦め教室へ向かうことにした。

教室に着くと、クラスメイトが遅れて来た俺を何事かと見る。
俺はそれらの視線をスルーし席に着くとスマホを弄り時間を潰しつつ担任が来るのを待った。
担任のテンションがいつも以上に高いのをウザく感じながらこの時間の俺は睡眠を選んだ。
この選択を後悔することになろうとはつゆ知らずに…
普通なら女の子達のウケを狙った男が選ぶ為に大人気種目なはずなのだが担任がバスケ部顧問で熱血な為スパルタレッスンが待ち受けているらしい。
が、俺がその話を知る前に黒板に名前を書かれてしまっていた為、俺が気付いた時にはもう遅かった。

そして昼休み俺は弁当をササッと食べるとそそくさと保健室へと帰還した。
「おーおかえり」
「だだいま…きぃやん」
「随分とお疲れなようで」
「誰のせいだと」
元はと言えばきぃやんのせいだぞという顔できぃやんを見る。
きぃやんは視線を逸らし「お疲れさん」と珈琲を俺に差し出した。
「サンキュ」
俺が礼を言い、珈琲を啜る。
「…で、何の種目を選んだんだよ?」
「バスケ」
「はー…意外だなー。てっきりそれは避けて来るかと思ってたわ」
「俺も」
「んで?何があった?」
「暇で寝てたら…」
「無理矢理選ばれたのか」
「そう」
ドンマイと言わんばかりに肩を叩くきぃやんを恨みながら俺は珈琲を飲み干すとスパルタレッスンから逃げるべくそのまま帰宅することにした。
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