情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
私の選択


 昼食を食べ終わり、私は部屋に戻ってきた。部屋のベッドに倒れ込み「んー」と唸る。無意識にため息が出てしまった。

 それは、八尋さんに問われた言葉のせいだ。


 ――酒井を取り戻したいか。


 そう問われて私は答えることができなかった。すぐに「取り返したい」とは言えなかった。
 彼の話を聞いて思った。どんなに力が無かったとはいえ、私は酒蔵を守ろうともせず自分の保身を優先にして……影響力なんてなくても、行動を起こせば良かったのではないかと思った。



「言い訳、ばっかだな。私」


 きっと内心では諦めていた……私はずっと、享受していただけ。お母様の娘という肩書きに。



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