飼い主は幼なじみ

ただの幼なじみ

今日は晴れてる

カーテンからこぼれ落ちる光で目が覚め
晴れてることにほっとして朝を迎える

あと五分もしたら窓からあいつが
入ってくる

あいつとわたしはただの幼なじみ
それ以上でもそれ以下でもない

「よっ」

「おはよ」

当たり障りのない、いつもの会話
これが会話なのかなんなのか分からないけど
これだけでいい。

「朝ごはん出来たってお母さんさっき叫んでた」

「うっす。下行こうぜ」

当たり前のように会話をするけど
ついさっきこいつは窓から私の部屋に侵入してきた
幼なじみ

春澤 陽"はるさわ はる"

そしてわたしはこいつのただの幼なじみ
夏川 夏都 "なつかわ なつ"

はるとなつ

こいつとは誕生日も生まれた病院も同じ
生まれた時間はたったの1分違い

1分早く生まれたのが陽
1分遅く生まれたのがわたし

1分早いだけでいつも偉そうにしてくる

春生まれと夏生まれってよく勘違いされるけど
2人とも梅雨生まれ
春でも夏でもなく梅雨生まれ

窓から侵入してきて私の家で当然のように
朝食を食べてるこいつは

……ただの幼なじみ
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