君の隣にいられたなら。
「デート行かない?」
「……えっ」
「え?時差。デートだよデート。茉白ちゃんとお出かけしたいなって」
「い、いですけど」
「ホント??どうする?どこ行く??茉白ちゃんは何が好き?」


ばっとテンション上がった鮎川先輩は、私を質問攻めにして、あ、ごめんね、とお茶目に舌を出した。


「一応ね、3つ向こうの駅の商店街の方で食べ歩きとかどうかなって考えてるんだけど」
「私のこと誘う前からそんなに考えてくれてたんですか?」


断らなくてよかったと少し安心してしまった。


少しテンションが高い先輩だけれど、優しい人なんだと、そろそろわかってきた。
テンションが高いところはちょっぴり苦手だけど、暗くなったら絶対に家まで送ってくれるし、私が話したくなさそうなことは絶対に追及しない。
私の早口だって、口下手な言葉だって全部楽しそうに聞いてくれる。
図書室で週1、2回くらいしか会わないけれど、本当に良い人だと思った。



「もちろん。茉白ちゃんに楽しんで欲しいなって。ほら、あそこならアーケード街だし、日光も当たらなくていいかなって。近いし」



……すご。
計算され尽くしてて、少し怖い。
というか、誰かといったデートを使い回してるんじゃないかってくらいの解像度。


だけど、とっても嬉しい。
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