悪魔なあなたと結婚させてください!
「まさか、家出?」
結婚を断られたときのことを思い出す。

それ以来アレクとの間に会話はほとんどなかった。
それでも大丈夫だと思っていたのは、アレクと自分が主従関係にあったからだ。

アレクは幸が召喚した悪魔。
だから幸から離れることはないと、タカをくくていた。

「待って、そんな」
だけど最近のアレクの呆れ顔は何度見ただろう。

あれだけ幸に対して呆れていたから、ついに我慢の限界が来たのかもしれない。
「アレクが出ていくなんてありえない。だって、私はご主人なんだから」

つぶやく声が虚しく空間に消えていく。

どれだけアレクの名前を呼んでも出てきてくれなかったのが、アレクが愛想をつかしてしまった証拠そのものだった。
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