心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
駿介と紗知子
「私の動画のフォロワーさんに“Ryo”さんていう人がいるの」

紗知子は話しながら、手持ちのバッグを荷物籠に置き、コートを脱いでニット姿になった。

「ふうん」

向かいにいた駿介が、キャスター付きのスツールを滑らせ、ぐっと距離を縮めてきた。駿介の大きく開いた両足の間に、紗知子の体が挟まれる格好になる。

「その人のコメントが、毎回優しくてね。昨日も “サチコさんのお庭で春の花が咲くのを楽しみにしています。花の手入れ頑張ってください” って。」

紗知子のおしゃべりに軽く頷きながら、駿介は首にかけた聴診器のイヤーピースを耳にセットした。

白衣の下は青いユニフォーム。Vネックの襟元からは、ちらりと鎖骨が覗いており、そこから大人の男の香りが匂い立つようだ。

紗知子はニットの裾をめくり上げながら、なおも喋りつづけた。
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