ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~
 ────数年後。


 ぽかぽかと晴れた道具屋裏の畑に、ラウレルが帰ってきた。

「ラウレル、おかえりなさい」
「ただいまビオレッタ」
 
 二人は抱き合い、軽くキスをした。足元では、元気な子供達がじゃれ合っている。

 クエバの工房から帰ってきたラウレルは、またピノから素晴らしい出来の指輪を預かってきたらしい。いまやリヴェーラの指輪は、道具屋の看板商品となっている。

「ピノが、ビオレッタは来ないのかってむくれていたよ」
「じゃあ次は私も行こうかな、この子達も連れて」
「喜ぶよ。ピノも」
「やったあ、僕たちも小人に会える?」
「ああ、会えるよ」

 次にクエバに行く日が楽しみだ。その前に、またリヴェーラの石を拾いに行かないと……

「久し振りに、皆で浜辺に行こうか」
「ラウレル、帰ったばかりで疲れていない?」
「大丈夫だよ。さあ」

 子供達も連れて皆でグリシナの浜辺へ向かうと、そこにはちらほらと旅人達の姿が見えた。
 皆『予知夢』を見ようと目を閉じたり、リヴェーラの石を探していたり。以前の閑散としていた砂浜が嘘のようだ。

 数年前、ラウレルとビオレッタの結婚式には多くの参列者が集まった。
 竜や妖精までが祝福した結婚式は大きな話題を呼び、村にとって予期せぬ宣伝効果となったのだった。その後グリシナ村の名は知れ渡り、ほどほどに旅人が訪れる観光地となっている。

「お母さん、私も予知夢見てみたい」
「僕も!」
「そうね、目を閉じてごらん。もしかしたら見えるかも」

 子供達は砂浜での砂遊びも楽しいけれど、そろそろそういうものにも興味が出てきたお年頃だ。
 小さな二人は顔を見合せると、早速ぎゅっ……と力の限り目を瞑った。なんて可愛いのだろう。

 そんな子供達を見ながら、ラウレルはビオレッタに寄り添った。

「ビオレッタも予知夢は見たことある?」
「あるわよ」
「えっ」

 ビオレッタの返事に、ラウレルはしばらく言葉を失うくらい驚いていた。そういえば、彼には伝えたことが無かった。同じ未来を見たのだと。

「ど、どんな予知夢だったの……」

 恐る恐る聞いてくるラウレルが、とても愛しい。
 そうだ、今日また浜辺で瞳を閉じてみようか。今度はラウレルとふたりで。

 また予知夢が見えるだろうか?
 心に願い、思い描く、幸せな未来が。

「あのね、私が見た予知夢は────」



 かわいい子供達。
 そして隣には最愛の人。
 あの時見た、夢のような未来を生きている幸せ。

 ビオレッタは優しい波の音に願った。

 どうかまた、二人で見る未来が同じでありますように。



 ──終──
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