チョコより甘い恋を。
後ろから声を掛けられて、反射的に振り向く。

ミッチーの姉、知佳(ちか)さんだ。

バレンタインなので、両親にチョコレートを買ったという。

それを届けに来たようだ。

「道明のやつ、深月ちゃんみたいな可愛くてデキる彼女をほったらかして何してるわけ?

もう!
私がガツンと言ってやるから!

深月ちゃんは家に入ってな?

女の子が身体冷やしちゃダメだし」

「知佳?

外で何話して……

あら?

深月ちゃんも一緒なのね。

2人とも、入りなさいな。

鼻まで真っ赤じゃないの、深月ちゃん」

玄関から慌てて出てきたのは、ミッチーのお母さんだ。

白いコートをハンガーにかけてくれて、電気毛布を手渡してくれた。

今日は日中こそ一足先に春が来た暖かさになるという。

ただ、朝晩は最近と変わらず、寒い。

ミッチーのお母さんの気遣いには感謝だ。

ミントグリーンのスカートがシワにならないように、ダイニングの椅子に座る。

「外寒かっただろう。

よく来てくれたね。

知佳も座りなさい。

コーヒーがいいか?
すぐ淹れるから待っててくれ」

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