両手から溢れる愛を



ぽんっと頭に乗せられた手とか。

何気なくあった目が優しく細められた時とか。

わたしが落ち込んでたらすぐに気づいてくれるところとか。


「好き、なの」


全部、ぜーんぶ好き。


「だから、」
「ごめん」


見上げた先に、困った顔をした貴方。


「友達にしか見れない」
「あ……そっ、そうだよね! ごめんね、急に! その……ごめん」
「うん。俺こそごめん」


振ったんだから、もうどこかに行ってくれればいいのに。


「あ、わたし、その……用事あったんだった! じゃあね!」


せめて泣いてるとこは見られたくなくて、その場から逃げ出して。


──付き合ってほしい、と。

言わせてももらえなかった。


「……っ」

涙が溢れる。


鳴り響くチャイムが、わたしの恋の終わりを告げているようだった。



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