望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「今週を乗り切れば、時間が出来るはずだ」

「そうだな。美紅さんお披露目の席ではかなり緊張していたみたいだから、楽しむどころじゃなかっただろう。ふたりきりでどこかに行ってくるといい。計画は立ててあるのか?」

「いや。美紅の希望を聞いてから決める」

「妻の意見が優先なんて、史輝のセリフとは思えないな……」

一体史輝をどんな我儘人間だと思っているのだろうか。

呆れながらも、京極一族でありながら、柔軟に美紅を受け入れてくれる宗吾の存在は有難い。

美紅に結婚を告げに笛吹家を訪ねたとき、彼も同行したが、汚れた作業着を着ていた美紅を見て驚き同情していた。美紅個人には友好的だ。

しかし結婚披露の際の交流の席にいた女性たちは、美紅を敬遠しているように見えた。

令華の影響もあるのだろうが、元々美紅は社交をしていなかったから、警戒されているところもあるのだろう。

彼女の身近に信頼できる人間を置き、フォローを頼んでいるがそれでも離れている間に何かされないか心配だ。

それに、美紅とは十年以上離れていたから、お互いまだぎくしゃくしている。
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