ねぇ、嘘じゃないよ
妻~ Proluge2 side 愁夜~

世界一

俺の(ゆう)は、世界で一番美人だ。















仕事帰り、俺は玄関の前で息を吸う。


よし、これからだ。チビたちが飛びかかってくるからな。



ガチャっと玄関を開けると同時に、反射的に聞こえてくる、妻の声。





「あっ、愁夜!おかえり!」




俺の奥さんは、夕飯を作ってくれたんだろう。

いい匂いが家中を漂っていて、食欲がぐんっと上がる気がした。




「ただいまー!」

大きい声で言い返すと、居間でかちゃかちゃ遊んでた音がピタッと止まった。






「「おと〜っ!!」」

どんどんどん、二重になった足音をならせて小さい子供二人がやってきた。




鈴音(すずね)と、美音(みお)

可愛くて可愛くて仕方ない、瓜二つの双子。


小さいながらキッズモデルをしてる、最高の娘二人。



「おとうだぞ〜、すず、みお!」

ひょいっと抱き上げて、二人に頬擦りをした。

「えへへっ」
「おとー、くすぐったい!」
可愛すぎる二人の笑い顔に倒されそうになるも、気を取り直して頭を順番に撫でる。



鈴音と美音、という可愛らしい名前は、二人で決めた。

鈴音は、少し複雑だけれど。
Belleはフランス語で、美しいという意味。
同じ読みのBell、つまり英語で鈴、ということ。
そして、音は、音楽みたいに美しく、みたいな。


美音は、そのままの意味。
美しい心の持ち主になって欲しくて、音楽みたいに綺麗になって欲しくて。


双子揃って同じ意味の名前、されど全然違う名前、なんてすげーだろ?

超お気に入りの名前。


そんな二人も、もう4歳。あっという間に大きくなってしまって、ゆうは喜んでいるけど俺は悲しすぎる。



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