降り積もる雪のように

約束


私たちが打ち解けるのは、早かったと思う。

上手とか下手とかはさて置き、私たちにはカメラという共通の趣味があったし、実は同じ市内に住んでいることや、職場も近いことが分かった。

帰り際、ヒロさんが言った。

「今度、撮影に誘ってもいい?」

断る理由は特にないから、私は頷いた。このまま「またね」と言ってさよならするのは、少しだけ寂しいと思っていたのもあったから。

「もちろん!できれば、いろいろと教えてほしいな。ヒロさんみたいな写真を撮れるようになりたくて」

彼は照れくさそうに笑った。

「リナさんの写真、十分素敵だと思うけど」

「あはは、ありがとう」

「それじゃあ……。撮りたいと思っている景色があるんだけど、今度それにつき合ってくれないかな。少し暗くなってからの撮影なんだけど。そんなに遅い時間まではかからないと思うから」

私は少し小首を傾げた。

この季節、暗くなってから撮りたいような景色とは何だろう?

「星撮影とか?」

「じゃなくて、日が落ちた頃の時間帯の景色」

「へぇ、どんなのだろう。いつ?」

「実はその日にならないとちょっと分からなくて……。はっきり予定が分からないのは、やっぱりイヤ、だよね……?」

「大丈夫だよ。最近は別に忙しくないから、突然の招集にもお応えできると思う。その時はDM入れて下さい」

彼はほっとしたように笑った。

「ありがとう。たぶんだけど、次に雪が降った日になると思うんだ」

「分かった。楽しみにしてる」

私はうきうきしながら大きく頷いた。

雪が降った日というからには、雪景色なのだろうか。ヒロさんが撮るならきっと、ありきたりの写真にはならないような気がする。

彼がその景色をどう切り取るのか、その日が来るのがとても待ち遠しく思えた。

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