魔女令嬢アリスの100日旅~婚約破棄だと勘違いした殿下が、心配すぎて私に内緒でついて来てしまったそうで~
お父様は膝に手をおいてゆっくりと立ち上がると、ベッドの近くにあった机の中から何かを取り出した。
その手には赤茶色の分厚い本があって、それを私に差し出した。
「これは?」
「ミレーヌが最後にお前に、と遺したものだ」
「お母様が……?」
私はお母様ゆずりの淡いオレンジ色の長い髪を耳にかけてその本を受け取った。
本を見てみると、ところどころページが抜けていて長年使われていたのか紙も少し色褪せている。
私は本を傷つけないように丁寧に表紙をめくると、そこには何かの切符が挟んであった。
『Cruise train Crescent』
クルーズトレイン……?
クルーズトレインは貴族たちが移動手段の一つとして使っている蒸気機関車の豪華版──つまりはこの地方唯一の豪華列車である。
田舎領地に住む私たちには関わることはない思っていたけど、どうしてこんな切符がここにあるのだろう。
不思議に思いながら切符をよく見てみると、そこには去年の夏の日付が刻印されていた。
「お母様がクルーズトレインに乗ってた?」
「ああ、その時期は確かに長く家を空けていたが」
その手には赤茶色の分厚い本があって、それを私に差し出した。
「これは?」
「ミレーヌが最後にお前に、と遺したものだ」
「お母様が……?」
私はお母様ゆずりの淡いオレンジ色の長い髪を耳にかけてその本を受け取った。
本を見てみると、ところどころページが抜けていて長年使われていたのか紙も少し色褪せている。
私は本を傷つけないように丁寧に表紙をめくると、そこには何かの切符が挟んであった。
『Cruise train Crescent』
クルーズトレイン……?
クルーズトレインは貴族たちが移動手段の一つとして使っている蒸気機関車の豪華版──つまりはこの地方唯一の豪華列車である。
田舎領地に住む私たちには関わることはない思っていたけど、どうしてこんな切符がここにあるのだろう。
不思議に思いながら切符をよく見てみると、そこには去年の夏の日付が刻印されていた。
「お母様がクルーズトレインに乗ってた?」
「ああ、その時期は確かに長く家を空けていたが」