そんなの、嘘。

「……っ!」

「その表情を見る限り、当たってるんだね」

「やっこ、ちょっとやめてくんない?」



思わず、きつい言い方になってしまった。



「……ごめん」



やっこが俯く。

それでも、
「でも、地元に帰るならさ。その人の家に行くといいよ。きっと話せる」
と、遠慮がちに付け加えた。



「誰なのか、やっこにはわかるの?」

「私は知らない人だから、わかんない」



わかんねーのかよ、と内心で思っていると、
「でも、和音ちゃんはきっと知ってる人だよ」
と、やっこは言う。



「なんでわかんの?」

「だって、なんか……その人、和音ちゃんのことが好きそうだから」



やっこは「じゃあ……」と、そそくさと去って行った。




(誰なんだよ)




そう思いつつ、ふと考えてしまう。



高校の制服?

地元の人?



……まさか。



違うよね?

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