片恋 好きな人には好きな人がいる


旭に触れると胸の高鳴りは収まるどころか増すばかりで、どんどん酷くなる一方だから、このままではまずいと思い、距離を置くためにわざと冷たく接したりしたけど、やっぱり効果はなかったし、むしろ逆効果だったみたいで逆に心配されてしまった。


はぁ…、何やってんだろ僕。


それに、どこまでも鈍い旭にもどかしさを感じる。


「この前も四組の子に告白されたってほんとか?一輝、やっぱりモテんな!」


「あぁ、うん。断ったけどね」


「なんでだよ、もったいねぇ」


「だって、その子のことよく知らないし、受験生だよ」


「ふーん、まぁそうか」


「今日は受験勉強するから先に帰るね」


これ以上、色々と聞かれたらどうにかなってしまいそうだった僕は教科書を詰め込んだ鞄を持って教室を出た。

旭は何か言いたそうな顔をしていたが、気づかないふりをしてそのまま学校を後にした。


家に帰ってからも、旭のことばかり考えてしまう。


今、何してんのかな? 何を考えてるのかな? って、どんだけ乙女なんだよ、自分……。


恥ずかしくなってベッドに突っ伏した。


あぁ、旭に彼女が出来たらどうしよう…、って男同士なんだからスタートラインにも立ててないのに馬鹿だな…。


こんなの叶うわけがない。


叶わない恋をしていることを自覚してまた悲しくなった。
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