片恋 好きな人には好きな人がいる
優芽のお話

恋をした



初めて彼を見た時、王子さまが現れたかと思った。


入学式でも一際目立つ長身に整った顔立ち、笑うと爽やかな風が吹いたような印象だった。


同じクラスになった日に、筆箱を忘れてしまった私は引っ込み思案な性格でペンを貸して欲しいと周りに言えずに焦ってオロオロしていた。

そんな私に気づいて、声をかけてくれたのが大場くんだった。


「これ、使って。後ろから見てたら困ってそうだったから」


ボールペンを差し出してくれて、席も近くないのにわざわざ貸してくれた事が嬉しかったし、その優しさに思わずドキッとした私は、大場くんの笑顔と優しさにすぐに恋に落ちてしまった。

大場くんと話してみたいと思っていたけれど、いつも色んな人に囲まれていて、話しかけるタイミングがなかなか掴めない。


うぅー、どうしよう……って悩んでるうちにあっという間に一週間が過ぎようとしていた。


一人になった時に話しかけよう!と思っても、いつも幼なじみだという佐竹くんと一緒に居ることが多かったので無理だ…。

いつも優しくてかっこいい大場くんと、いつもつまらなさそうな顔でそっけない感じの佐竹くん。二人は正反対の性格にみえるのに凄く仲がいいみたいで、お互いを信頼しているように私には見えた。


人見知りの私には羨ましい関係だな。私にも友達はいるけたど、あんな関係ができる友達が出来たらいいんだけどな。
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