友達が結構重たいやつだった

彼氏が欲しい

 他の人とも話せるようになったはずの龍二はその後も私にべったりで、離れる気配がまるでない。放課後はいつも一緒ってわけじゃないから別にいいっちゃいいんだけど‥‥

 理系コースを選択した私達は2年になっても同じクラスのまま、相変わらずの関係だった。

「ねえ、龍二はなんで彼女作らないの?」

「愛海だって彼氏作らないじゃん」

「何それ、嫌味?私は作らないんじゃなくて作れないの!」

 私はまだ見ぬ運命の相手を求めて未開の地を開拓し続けている。成果はまだない。

 最近はすぐに結論を出さず、誘われればそれに応じて何度か会うようにしていて、実は昨日も先週連絡先を交換した男の子とふたりで遊びに行ったのだがいまいち盛り上がらず、かなり気まずい思いをした。

 初対面の相手と数時間過ごしただけじゃ恋は芽生えないと考えこうしてデートを繰り返しているのだが、いまだ好きになれそうな相手には出会えない。友達なら男女問わずすぐできるのに、それが彼氏となると途端にハードルが上がるのはどうしてなのか。

「夏休みまでには彼氏が欲しかったけどもう厳しいよなー。海とかプールとか花火とか、彼氏と満喫したかった‥‥来年は受験でそんな余裕ないだろうし」

「そんなの、俺と行けばいいじゃん。いくらでも付き合うよ?」

「話聞いてた?『彼氏と』行きたかったの!」

「えー何それ?なんか違うの?じゃー俺が愛海の彼氏になればいいじゃん?」

「だからそうじゃなくて!私は大好きな彼氏とのラブラブな夏の思い出が欲しいんだよ!」

「ええ!?愛海は俺のこと好きじゃないの!?嘘でしょ!?」

「いやだから、龍二は友達じゃん!私が欲しいのは友達じゃなくて彼氏なの!」

「意味わかんないよ。友達は彼氏になれないってこと?」

「そうじゃなくて。うーん‥‥彼氏になってくれるなら誰でもいいってわけじゃないんだよ。友達と恋人の好きは別物でしょ?私はちゃんと好きな人と恋人になりたい。龍二は違うの?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥わかんない」

 そう言って黙り込んでしまった龍二がその時に何を考えていたのかはわからないが、彼が大胆な行動をとったのはそのすぐ後だった。

 女子にもてまくりの龍二が全く彼女を作ろうとしないのは何か強いこだわりでもあるんだろうと思っていたのに、ある日突然、告白してきた女の子とあっさり付き合い始めたのだ。

 私では厳しいと判断した夏休みまでというリミットを龍二はいとも簡単にクリアしたのである。これだからイケメンは‥‥という感想を持ったのは言うまでもない。
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