本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 失恋旅行から帰ってきてからしばらくは、本省で彼を見かけるだけで居たたまれなくて、顔を合わせないように避けていた。けれど、すぐに結婚式の準備で忙しくなり、頭の中は圭君との結婚――というより初夜――のことでいっぱいになった。

 結婚生活が始まってからもそれは同じで、仕事の合間にもふと彼のことを思い出してふわふわしてしまうので、余計なことは考えないようにしていたのだ。

 そんな状態だったので、先週中庭で首席とばったり出会ったときも気まずさはあったものの胸の痛みはすっかり消えていた。多分その頃にはもう、圭君のことをすきになっていたのだ。首席のことを完全に吹っ切れたのは、間違いなく彼のおかげだ。

 数時間前に別れたばかりの彼に、無性に会いたくなった。待ち合わせの時間が待ち遠しい。

「大切にしてもらっているんだな」
「え?」
「その顔を見ればわかるよ」

 思わず頬を両手で覆った。圭君のことを思い出したせいで、無意識ににやけていたようだ。

「首席こそ、幸せが顔に出っぱなしですよ」

 照れ隠しにそう言って反撃すると、「あはは」と楽しそうに笑われる。

「そうだな。幸せすぎて夢の中にいるようだよ」
「隠す気自体なさそうですね」

 ふたりで顔を見合わせて吹き出した。
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