本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 ここ数日まともに昼食すら取れていないとぼやいていたのを聞き、一念発起した。お弁当と朝食をきちんと作ろう、と。

 もともと朝が得意ではない上に、このマンションでの生活に慣れていなかったので、朝ご飯はパンとコーヒーだけで済ませていた。圭君はもともとコーヒーだけだそうだ。

 料理は苦手ではないが、正直自分のためだけになんて面倒だし、作っても適当な一品料理ばかりだった。
 だけど結婚したからにはこれまでと同じではだめなのだ。はっきり言って〝押しかけ女房〟に近い形で強引に彼にもらってもらった身としては、せめてできることから妻としての役目を果たしていきたい。それにはまずは食事からだ。健康な体あってのお仕事だ。

 彼が早朝ランニングに出て行く音を布団の中でこっそり確認してから、急いで起き出し、化粧や着替えの身支度を先に済ませた後、朝食とお弁当作りに取りかかった。あとは歯を磨けば出勤できる。

 最初だから失敗のリスクと所要時間を鑑みて、メインは冷凍の唐揚げにすることにした。卵焼きは自分で作るから大目に見てほしい。

 久々の卵焼き、うまくできるといいのだけど。
 少し不安になりながら小さなステンレスボウルに卵を割り入れる。
< 57 / 154 >

この作品をシェア

pagetop