早く素直になればよかった
私が戸惑っていると、近くにいた先生が「あっ」と声をもらした。


「そういえば、さっき、名前は覚えてないんだけど、女の子が鍵取りに来たよ。」



「あ、そうなんですね。ありがとうございます。」



私は動揺を悟られないように先生にお礼を言い、職員室を出た。



女の子、美久か優乃のどちらかか。



でもどうしてだろうか。



私は疑問をかかえたまま部室に直行する。



ドアを開けようとしたところで中に誰かいることに気づいた。


美久と蓮だ。


私はなぜか胸騒ぎがし、ふたりに気づかれないようにそっと中の様子を見た。



そのときだった。



「え。」


思わず声がもれた。



蓮が美久の前髪をさっとよけて、額にキスをしていたところだった。



なんで、蓮が、美久と...。



心臓がバクバクいって、全身の血液がものすごい速さで循環している。



嫌な汗がつたう。



一方美久はというと動揺してる素振りも一切見せず、まるでいつもそうしているかのような表情をしていた。
< 7 / 9 >

この作品をシェア

pagetop