前世恋人だった副社長が、甘すぎる




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私はベストセラーにもなったこの本を持って、震えていた。

感動したのはもちろんだ、だけど、私の心の中に渦巻いているのは感動だけではない。

動揺、焦り、そして、すとんと腑に落ちる納得の気持ち。

この本は史実を忠実に再現した本だと話題だが、まさしくその通りだと思う。

5年ほど前から私は時々夢を見ていた。私がこのお嬢様になった夢を。





生まれ変わり……そんな馬鹿なこと、あるわけないと思っていた。

占いなんかも信じないほうだ。

だけど、私はなぜか英語とフランス語とドイツ語が話せるし、食事マナーも完璧。

マニアックな音楽の教養もあって、バイオリンとピアノが弾ける。

様々な相手や嫌味を受け流すのも上手。

おまけに、高校の時のあだ名はお嬢だ。

きっと海外留学なんかをしていて記憶喪失になったのかと思っていたが、どこにもその記憶の穴はない。

それに何より、この本の内容よりもさらに詳しく、胸が痛くなるほどの愛を思い出すのだ。


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