前世恋人だった副社長が、甘すぎる



そんなことを考えながら、3週間後のフランスへの出張の航空券や送迎を手配する。

なぜか話せるフランス語でやりとりする私を、いつの間にか手を組んで見ている怜士さん。

きっと、クリスチーヌのことを考えているのだろう。

そんな怜士さんに、わざと見えないように背を向けたのは言うまでもない。



「なあ……」


電話を終えた後、待ってましたと言わんばかりに口を開く怜士さん。

どんなことを言うのだろう。

航空会社に要望を出しすぎただろうか。それとも、私がフランス語を話せることに突っ込まれるのか。

なんて不安に思ったのだが……


「座席、一席しか確保していないのか?」


怜士さんの言葉は、私の想像の斜め上を行くのだ。


「エールフランスのファーストクラスは並び席だ。

穂花も隣に席を取ろう」

< 94 / 258 >

この作品をシェア

pagetop