【マンガシナリオ】優しくない推しの"熱愛報道相手"に選ばれました!?

2話

○ホテル(会見場) • 室内

 前に座っているリウと桜。

リウ「ですので、こちらの女性花上桜さんと婚約しております。ファンの皆様には急なご報告となり驚かせてしまい、大変申し訳ございません」

 2人で頭を下げる。

桜(なぜ、こんなことに……)





~1話の振り返り~

桜(私、花上桜)

○花上家 • 桜部屋(朝)

テレビからニュースが流れている。 

リポーター『Look for your.のリーダー、風沼リウさんが熱愛報道による緊急会見をいたします!』

桜「熱愛、報道……?」

桜(推しが熱愛報道を出してへこんでいたら、)




○通学路(朝)

 赤信号の横断歩道を渡ろうと足を踏み出した時、後ろから体ごと思いっきり引っ張られる。

桜(危うく事故りそうに……)

桜「きゃっ!」

 倒れた下には、同じ制服の帽子を深く被った男子が。

男子「お前死にたいのか?だったらこんな迷惑な場所で自殺未遂するのはやめろ。不愉快だ」

桜(怖い人に助けてもらって助かったんだけど、)




○学校 • 教室(朝)

桜「は……い!?!?」

桜(まさかの席が隣。そして、)




○同 • 空き教室前

黒板に追い詰め、壁ドンをされる桜。

リウ「こうやってやられたいからわざとまだ気づかないふりしてるの?」

 帽子が下に落ちる。

桜(あの怖い隣の人は、Look for your.私の推しのリウ様だった)

リウ「両親が縁談もちかけてきて受けなきゃアイドル辞めさせるって言うから、姉貴と組んで婚約者ができたって呈にしてる」

桜(嘘だって分かって安心したけど、)

リウ「お前、姉貴の代わりに俺の熱愛報道相手になれ」
桜「は……?」

桜(推しの熱愛報道相手に、なぜか私が選ばれてしまいました)

~振り返り終わり~





記者①「お2人はいつから付き合っていたんでしょうか?」
リウ「だいたい1年前くらいですね」
桜(いいえ、今日初めて会ったばかりです!)
記者②「やはりもう同棲も?」
リウ「それはまだです。皆様に発表してからが良いと話し合っていたので。実質今日からですね」

 ニコッと王子様スマイルでほほえみかけられる。
 桜もひきつりながら笑顔で返す。

桜(まさか今日から本当にするとか言わないよね?)

記者③「世間に公表したということは、結婚も視野に入れているということですか?」
桜(結婚!?なわけ─)
リウ「勿論です」
桜(バカー!後戻りできなくなるでしょうが!)

 睨む桜だが、肩を抱き寄せられる。

桜「!?」
リウ「彼女がお疲れのようなのでこの辺で。その他のご質問は文書にてお答えしたいと思います。さ、行こう」
 
 記者が桜に群がる。

記者「桜さん、今の気持ちを!」
  「リウさんのファンだったんですか?」
  「お互い好きなところを!」
  「どうやって落としたんですか?」

 記者のうちの1人が桜の腕を掴み、倒れる。

桜「きゃっ」

 すぐに駆け寄り至近距離で、

リウ「大丈夫!?」
桜「ご、ごめんなさい、大丈夫です」

桜(びっくりした~!!推しの顔面が間近にあると息が止まりそうになる)

 腕を見ると手の跡が。
 リウが掴んだ記者の元へ行き、首からかけてある名札を掴む。
 記者にしか聞こえない声と怖い顔で、

リウ「お前、顔と名前覚えたからな」

 王子様スマイルで桜のもとに戻る。

リウ「行こう」
桜「は、はい」

桜(何を話してたのか聞こえなかったけど、あの顔は相当怒ってそうだった)

 カーテンの裏に行く。
 そのまま腕を掴み急ぎ足で、

リウ「俺の控え室に一緒に来い」
桜「いいですけど」

桜(もしかして私にも何か怒ってるのかな?今からなにを言われるんだろう怖いタスケテ……)

 廊下を引っ張られるようにして歩いていく。





○同 • 控え室

 リウが氷の入った氷のうを桜の腕に当てている。

桜「なんですか、これは」
リウ「さっきの手跡残こしたくないだろ」
桜(怒られるかと思ったけど、まさかの看病!?)
桜「ありがとうございます。意外と優しいんですね」
リウ「意外とってなんだよ。っていうか、敬語禁止。リウって呼べ」
桜「りょ、了解」

 ノックがして、リウのマネージャー荒木誠(あらきまこと)(20)が入ってくる。

誠「やっっっと見つけた!なに考えてるんだバカ!!」
リウ「遅かったな」
誠「あーーーもう本当にお前は!会見するならすると一言くらい連絡しろ!」
リウ「言ったら止めるだろ」
誠「当たり前だ!全く昔から……」

 桜と目が合う。

桜(こ、これが噂の……!)

 誠のもとに駆け寄り、手を握る。

桜「あなた様がLook for your.の神マネージャー様ですねっ!いつも本当にありがとうございます!あなた様がいてくれてどれだけファンも有りがたいと思っているか!!!あ、初めまして。私、花上桜と申します。リウ様推しで……あ」

 シーンとする室内。

桜(や、やっちまったー!ついべらべらと!)

リウ「腕冷やすから戻ってこい」
桜「あ、はい、すみません」

 再び冷やしてもらう。

リウ「会見見たと思うけど、コイツが今日から姉貴の代わり」

桜(マネージャーさんはこのこと知ってるのか)

誠「お前本気か?」
リウ「勿論」
誠「はぁ……」

 リウと桜の前に座る。

誠「初めまして、と、さっきはありがとう。マネージャーの荒木誠です。よろしくね」
桜「あっ、よろしくお願いしますっ」
誠「単刀直入に聞くけど、桜ちゃんはメンタル強い方?」
桜「え?」

桜(メンタル?メンタル……)

~回想~
○学校 • 教室

 テストを受けている桜。

桜(これはこうで、こうで、あれ、こうだっけ?あーーー分かんないよぉ。胃が痛い……)

○同 • 教室

 黒板には、将来の夢と書かれている。
 皆の前に立ち、カチンコチンの桜。

○帰り道

 階段を上ろうとするが1段外し、転ぶ。
 涙目で、

桜(もうダメだ)


~回想終了~

桜「メンタル、プレッシャー共に弱いです……」
誠「そっかー」
桜「すみません」
誠「いいのいいの。けど、リウの彼女ともなるとファンの敵になるからアンチは覚悟しといてね」
桜「がんばります」
リウ「頑張る必要ないだろ」
桜「え?」
リウ「俺がいるんだからお前はなにも心配しなくていい」

桜(ズギュンッッッ!恐るべし破壊力!!)

 尊すぎて倒れる。

誠「あーあ、尊すぎて倒れちゃった。罪な男」
リウ「ま、丁度いいだろ」
誠「だね」

 リウがお姫様抱っこをして室内から出る。

ナレーター風の桜(その頃、私は夢を見ていた)


~夢~
○公園 (夕方)

 ドーム型の遊具の中に、幼い頃(小学1年生)の桜がいる。
 アイドルthat's のメンバーカードを並べて見ている。

桜「悠斗くんはセンターだから真ん中、ラルフくんは左でしょー」

 そこに男の子が駆け込んでくる。

男の子「ごめん!ちょっと匿って」
桜「えぇーしょうがないなぁ」
男の子「あ、この人」
桜「知ってるの!?私の好きなアイドルthat's のメンバーカード。それは1番好きな悠斗くん!限定のレアなんだからねっ」
男の子「へぇー凄いな」

 男の子を呼ぶ声が聞こえる。

声「ダンスの練習サボるな~。俺みたいになるんだろー」
男の子「行かなきゃ」
桜「ダンスの練習?頑張ってね」
男の子「……いつかまた、会えるかな」
桜「?勿論!その時はもっと一緒に遊ぼうね!」

 男の子の顔と耳が赤くなる。

男の子「うんっ」

ナレーター風の桜(懐かしい。あの男の子元気にしてるのかな。どうなんだ、ろ、う─)

~夢終わり~


○シェアハウス • リビング

 L字ソファーで寝ている桜。

桜(なんだか凄く昔の夢を見た気がする)

 起き上がると、隣にLook for your.のメンバーの1人、山田優心(やまだゆうしん)(19)が寝ている。

桜「きゃっ!」

 慌てて自分の口に手を当てる。

桜(え、なんでLook for your.のメンバー山田優心くんがここに!?)
 (確か控え室でリウとマネージャーの誠さんと話していてそれで……思い出せない)

優心「んん、あ、おはよー」
桜「おはようございます……?」

桜(ってなに私普通に会話しちゃってんだ!)
 (まずはこの状況を聞かないと)
 (それにリウのことも!)

桜「あ、あのー」
優心「なーに」

桜(う。流石アイドル。寝起きフェロモンやばすぎ)

桜「私は何故ゆえここに?というか、ここどこですか?リウはどこに……わっ!?」

 優心が桜の手を掴み引き寄せ、覆い被さられる形になる。 

優心「そんなの、どうだっていいじゃん?」
桜「ちょっとやめてください」

 顔を近づける優心。

優心「ねぇ。リウより俺にしなよ」

 ガラッと扉が開き、リウが上は裸、下はズボン姿で髪をタオルで拭きながら出てくる。

桜「あっ」

 目が合う。


桜(最悪なタイミング。神様、これが罰でしょうか?)
 (そして、状況が状況にしろ、推しの半裸をタダで見てしまっていいのでしょうか?)

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