濁った僕を抱きしめて
それだけのことかと思うかもしれないけど、何もしなかった頃に比べるとかなりの進歩である。


地球温暖化の影響なのか、二月の始めだというのに厚手のコートを着ていると暑い。
買い物にはわたしが行く。


拓海くんには出歩いて欲しくないし、何より献立のメニューを考えるのはわたしだから。
いつかの時みたいにふたりでスーパーを回って選べたら楽しいんだろうけど、そんなハイリスクなことは今は出来ない。


必要な物のメモはしてきたけど、夕飯のメニューは全く浮かんでいない。
拓海くんに食べたいものを聞いてもないって言うし、わたしだって特に食べたいものはないのに。


取り敢えず簡単に作れそうなメニューにでもしようか。
そう思っているとスーパーに着いた。


自動ドアをくぐり、かごを手に取る。
わたしも長居はしていられないので、必要な場所しか回らない。


前まではいる物がなくても全体を見て回っていたけど、今のわたし達には本当に余裕がない。
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