結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 相手が王子だからか、ジョシュア殿下の眉がピクッと反応を示した。

 トユン事務官は期限間近の書類に不備があったらしく、私たちの会話に耳を済ませることなく必死の形相でペンを走らせている。


「たしかセアラの姉の義弟にあたる方だったな。……何をしに来たんだ? バークリー家に泊まったのか?」

「いえ。ホテルを予約されていたらしいのでお帰りになりました。姉の結婚式でお会いできなかったので、挨拶をしに来てくださったんです」

「……10年以上経ってから?」


 声のトーンで、殿下がその理由を疑っているのがわかる。
 


 殿下も私と同じように疑問に思ってるわ。
 まぁ、たしかにちゃんとした理由を知らないと不自然だもんね。



「最近、姉の家で私たち家族の写真を見たそうです。それで、挨拶していないことに気づいて連絡してくださったとか」


 こう説明すれば、殿下も私と同様に納得すると思っていた。
 しかし、殿下の顔はやけに不穏そうに歪められている。
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