結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 俺が少女と会っていたことを知っているのはオリバーだけだ。
 
 そして、いくら身なりのいい貴族の娘だとしても、俺が正体不明の者と会っていることを認めるはずがない。
 おそらく初めて会ったあと、すぐにその少女のことを調べたのだろう。



 あの頃はあまり周りが見えていなかったし、何かを深く考えたりもしていなかった。
 今考えれば、当然のことだな。
 ……だからって、それを全部父に話していたのは許せないが。



 それに、もう1つ気になることがある。
 先ほど父はセアラのことを『初恋の少女』と呼んでいた。



 ……なんで知ってる?



 これに関しては、オリバーにすら言ったことはない。
 オリバーすら知らないことを、なぜ父が知っているのか。
 俺は頭の中でその答えに気づいていながら、それを認めたくなくて小さくため息をついた。


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