結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

13 冗談はやめてください


「セアラが好きだから」

「…………え?」

 
 予想外すぎる返答に、ガクッと全身の力が抜けた。
 ジョシュア殿下の黄金の瞳は、眩しいくらいにキラキラと輝いている。


 
 ……殿下ってば。
 私の邪魔をしたことを悪びれるどころか、さらにからかってくるなんて!
 しかもこんな真っ直ぐな瞳で!


 
「殿下。冗談を言っていないで質問に答えてください」
 
「冗談じゃなくて本気だよ」
 
「……そうですか」


 
 もう! 話をごまかすためとはいえ、こんな冗談は悪ふざけがすぎるわ!
 やっぱり邪魔してきたのはただの嫌がらせなのね。


 
 ジョシュア殿下はニヤニヤと笑いながら、執務机の前に立っている私を上目遣いで見つめてくる。
 お顔だけ見たらとても可愛らしいのに、その心の内を想像すると可愛いだなんて思えない。


 
 なんて楽しそうなのかしら! 
 この状態になったら、もう今日はダメね。
 候補決めの件については、また明日催促しなきゃ!


 
 明日になったらこの悪ふざけも終わっているはず。
 そう思っていたのに──。
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