心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 誰も聖女の本を求めていないのか、通路にはグレイしかいない。
 とりあえず目に入った『聖女の伝説』というタイトルの本を手に取り、適当にめくってみる。

 たまたま開いたページには、聖女の絵が載っていた。
 本の書かれた年代から、実際に聖女を見たことのない人物が想像で描いたものであるとわかる。
 
 尖った顎に、切長の目。
 魔女のようなその風貌に、グレイは思わずフッとうすら笑いをした。


「全然似てないな」

「誰に?」

「!?」


 返ってくるはずのない声に、グレイはバッと後ろを振り返った。

 薄茶色でふわふわの猫っ毛の髪。口角がいつも少しだけ上がっていて、口も猫のような形。
 優しそうな顔をしたクラスメイトのレオが、にこにこしながら立っている。
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