心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

4 聖女特有の黄金の瞳


 その日の夜。
 イザベラが外出したのを確認し、またグレイは別邸に忍び込んだ。

 鍵はイザベラの部屋から拝借してある。

 今回は他の部屋には一切寄らず、真っ直ぐにあの部屋へ向かった。

 2階の1番奥。カーテンが開けたままなので、月の光のおかげで他の部屋よりは多少明るい部屋。
 誰もいないのではないかと思うほど静かなその部屋に、グレイはこっそりと入った。
 
 真ん中に置いてある檻の中を覗いて見ると、あの子どもが横になって寝ていた。

 前回はもっと部屋が暗かったため見えなかったが、檻の中には薄い布のような物が敷いてある。
 決して柔らかくはないであろうその薄布の上で、子どもは身体を丸くしてスヤスヤと寝息をたてていた。
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