心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「わぁ〜〜何だか楽しそうだねぇ。俺、今日もここに泊めてもらおうかなぁ〜」

「お前は食事が済んだなら帰れ」

「ひどいっ」


 いつものようにレオをあしらうと、グレイは席を立った。
 デザートのフルーツを食べていたマリアが慌てて見上げてきたので、グレイは静かに声をかける。


「まだ食べていていい。俺は先に部屋に戻るだけだ。やらなければならないことがたくさんあるからな。……エミリー、あとは頼んだぞ」

「は、はいっ! グレイ様!」


 急に声をかけられたエミリーが一瞬にして背筋を伸ばして大きな声で返事をした。
 グレイがわざわざ使用人に声をかけている姿を見て、周りからは驚きの視線が集まっている。

 なんとなく気まずい気持ちになりながら、グレイはガイルと共に部屋から出て行った。
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