心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 どこから出したのか、ルシアンはメジャーを手に持つとマリアの身長に合わせて膝をついた。
 慣れた手つきでマリアの全身のサイズを測っていく。

 時々くすぐったくなったが、マリアは動かないように必死に堪えていた。
 その様子に気づいたのか、ルシアンがふっと優しく微笑む。


「採寸は終わりです。では次にドレスのデザインですが……マリア様、何か希望のデザインはございますか?」

「デザイン……?」


 ルシアンは自身のボストンバッグから分厚いカタログを取り出した。

 パラパラ……とページをめくってマリアに見せてくれたが、中身は全てドレスのデザイン画のようであった。


「わぁ……かわいい……」

「ふふ。ありがとうございます。何か気に入ったデザインはございますか?」


 そう聞かれてマリアは困った。
 どのドレスもかわいい。かわいいが、正直言って違いがよくわからなかったのである。
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